ーーーーーメルマガ『 チクタク No,27 』      13,AUG,2004 ーーーー   

涼風歓迎!炎天回避、灼熱相哀れみ申し上げます。
 
前回、『Jヴァイオリン時計の修復にご尽力を賜りし、ご有志』
のご署名が全国を巡り、7月26日にお届けいたしました。
個性的なコレクターの署名を拝見して時計への厚き想いと、
男のロマンとオーラーが感じられます。それにしてもこれほ
どの情熱を託された時計が此れ迄に有ったでしょうか。
しかし乍ら、白雲木さんは25日から長期出張だそうで、
れそれも延長され未だに帰宅せずとか。感激の対面が待ちどうしですね。


チクタクのプロジェクトXが水面下で進行中、国内のコレクターで
余りにも高名で蒐集した個体(時計)はなんと2500台とか。
トンボ出版「アンティーク掛け時計」著者戸田妙彦氏邸を来月にお
尋ねし膨大なコレクションを拝見する唐突な提案を快くご了承され
ました。既にチクタクの読者でもある事を公表いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「メルマガ編集長様へ」             ーねじり鉢巻さんー

梟時計は随分高価な値段で取引されておりますね、メルマガ25号で木の葉さんの購入された梟時計
お店の新装開店セールで半額で購入されたとか、日頃のお心掛けが相当よいのでは・・・。
私には到底このような運は向いてこないと思っております。
そんな訳で、不安一杯で梟時計作って見ましたので紹介させて頂きます。
しかし、写真や本等では中の構造まで詳細に写っているものは皆無に近く、無論、手元にお手本が有
る筈もなく目が動き鳴声と共に口ばしが開きオッポが動くと言うことを前提に思うままに作りました。

尚、梟の姿は「松本時計博物館」の出版物から姿の大きさを割り出して作りましたが、源さんにはこ
の博物館にある「ドイツ製梟時計」の詳細をご連絡下さりお礼申し上げます。

製作過程で苦労した部分のみ列記しておきます。
1、亜陀さんに塗装(ぼかし塗装他)のご指導受けましたが、私の技量が付いてゆけず挫折。
2、口ばしと鳴声のフイゴがうまく動かない。(時打ち機構のトルクが想像以上に弱い。)
3、口ばしと鳴声のフイゴが動くようになったが、動かす構造体の音が大きく耳障りで3回構造面を変更。
4、黒目玉を真丸に書くことが出来ず考えた末、黒丸と同じ径の極薄座金をセロテープで止めてカシュー
  黒を塗る。
5、使用した機械の振り竿が正面から見て前側のモノを選んだため、振子である尾っぽが梟本体に触れて
  しまい止まってしまう。尾っぽを削り直したり散々。
  (機械の取り付けが文字盤に近過ぎたようでした。)尾の重量:100g

初めて作ったと言うことも有り、部分的に作り直しの連続でしたが以下写真を拝見下されば幸いです。
寸法:H400(尾は含まず) W280 D100
                        










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「不苦労時計を頂いて」          ー源さんー

感想ですか。んーー。。難しいですな。私的には大変、満足な品物を
頂く事が出来、非常に幸せな気持ちです。松本時計博物館で見たもの
と特に目玉の動きがソックリでした。打ち方の方もほぼ同じです。
製作過程に於いてフイゴの取り付け場所が変わっていますが、
これはこれで斬新だと思います。こんなに素晴らしい物を頂けた私は幸せです。
お店で買えれば欲しかったのですが、このような素晴らしいものを頂いたので、
もう欲しくなくなりました。以上です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今晩はBENさま
匠 亞陀でございます。
近畿のコレクターからオーストリア製と想われる
ビエンアータイプ大型時計の琺瑯文字盤に書かれてるメーカーを
リサーチして欲しいとの依頼があります.




訳してみました。                                  ーBEN-

近くに居るのにご無沙汰しています。自信はないのですが、下記のようだと思います。門外漢のため
とんでもない間違い かもしれません。その節にはご容赦ください。

◆1行目:人名もしくは会社名
『 F r a n z F r i t s c h e 』 フランツ フリッシェ
フリッシェの4文字目にあるアルファベットの「t」の様な文字はドイツ文字で
「t」もしくは「k」です。しかし、2行目に違う書き方の「k」がありますので「t」
だと思います。

◆2行目:都市の名前
『 Z w i c k a u 』 ツビッカウ
最初の「B」に見えるのはドイツ文字で「Z」、2文字目のブタの鼻みたいのは
「w」です。

◆3行目:地方の名前
『 B Oウムラウト H M E N 』 ベーメン(ボヘミアの意)
2文字目は「O(オー)」の上に点々の付いた「オー ウムラウト」です。3文字目が
は っきりと読めませんが、多分「H」だと思います。

「ツビッカウ」は、ドレスデンの南西約100Km、プラハの北西約150 Kmにある旧東
ド イツの都市です。近くにはケムニッツという都市があります。自動車工業や機械工
業 がさかんな工業都市のようです。
ボヘミアといえば、現在ではチェコを指しますが、古くはポーランドの南部からチェ
コの北部にわたる広大な地方を指していました。つまり、「ツビッカウ」も当時はボ
ヘミア地方の中ということになります。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
明くる日は、獨逸の某大学で留学経験の有るBENさん宅で麦酒を飲んで
獨逸談義で盛り上がったのは言う迄もない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「獨逸の物作り原点」         ー匠ー

単純明快な2点です。(ハンブルグアメリカン)
1:機械基盤を留めるネジの頭です。先がほんの僅かにテーパーに成っています。
2:アンクル芯を固定する取外し可能なアンクル押え金具です。
 


1>ネジ先が平に削ってあると、ボルトを差し込む時はなかなか
  ネジ穴にうまく合いません。機械を組み立てる時には片手で持つ為に
  ボルトは片手で絞めなければ成らない。
  ネジ先がテーパーだと、ボルト穴へ簡単に差し込み指先で絞められます。

2>長年稼動すると、アンクルのほぞ穴が応力方向に摩耗します。普通は
  ほぞ詰め専用半丸たがねで叩いて真円に整形します。ところが、押え金具固定ネジ
  を緩め、未使用のほぞ穴へと角度を替えれば、いとも簡単に真円ほぞに交換できます。

ほんの一例ですが、もの作りの原点は簡単に/効率よく分解組み立て
メンテナンスを製作段階から既に、配慮しています。
どこかの國の職人泣かせ時計では、こんな無駄な製作行程は絶対に視られません!